多声音楽の起源をさぐる その2(9世紀~8世紀)

さて、前回の続きです。

 

【音楽の不思議を解く〜音楽はどう生まれ、発展してきたのか〜】

 

 

多声音楽の起源を知りたいと思い、手始めにまず この本↑ を読んだ。
 
この本によると  "多声音楽の起源は9世紀ごろの聖歌である" と書かれている。
 
 
 
しかしこの本から私が感じた、2つの疑問 はこちら。 

 

疑問その①
西洋音楽の基となる古代ギリシャ時代から、ポリフォニーが生まれたとされる中世ヨーロッパまでのおよそ1000年の間、音楽はまったく発展しなかった」とあるが、本当なのだろうか?

疑問その②
この本の中では西洋音楽の基となる古代ギリシャ以前には、まるで音楽が存在していないかのような書き方だが、絶対にそんなはずはないと思われる。それでは 古代ギリシャ以前の音楽とは どんなものがあるのか?

 
 
以上を検証するため、まずは現在に生きる私たちが通常耳にする、西洋音楽の起源であるとされている 「中世の西洋音楽を起点として、そこから どんどん昔へ さかのぼって調べてみようと思う。
 
話の都合上、前回と多少 重複するがお許し願いたい。
 
 
 
 前記事【多声音楽の起源をさぐる その①】 はこちら ↓

 

hissorisekai.hatenablog.com



西洋音楽ポリフォニーの起源をさぐれ!

 
現代 世界中のヒットチャートをにぎわす音楽はほぼすべて西洋の音楽  ーそれも欧米の、主に白人種の人々から発信される音楽ー 、に席巻されているように思える。
 
そして その西洋音楽のルーツとなるものができたのは、中世のヨーロッパであった。
 
 
中世ヨーロッパの音楽とはすなわちキリスト教の音楽であり、聖歌の事を指す。
 
そして 現存する最も古いキリスト教の聖歌とは、「グレゴリオ聖歌」である。
 
 

グレゴリオ聖歌

グレゴリオ聖歌とは?
西方教会の基軸をなす聖歌で、ローマ・カトリック教会で用いられる無伴奏の宗教音楽。
8世紀~9世紀にローマとガリアの聖歌を統合したものが、西欧から中欧のフランク人の居住地域で発展したものが発祥と考えられている。
伝説では、聖霊を表象する鳩がグレゴリウス1世に霊感を与え、グレゴリオ聖歌を書き取らせた。

 

 
グレゴリオ聖歌の現存する最古の写本は9世紀のものだが、聖歌自体はもっと古い時代から歌われていたと思われる。
しかしそれ以前は記録がないので、私達が知ることはできない。
 
今では和声(ハモり))で歌われることの多いグレゴリオ聖歌だが、中世初期の当時は 単旋律(モノフォニー) で歌われていた。
 
それでは、いつ・どのように 単旋律(モノフォニー) から現在のような美しい複旋律(ポリフォニー) の合唱音楽へ発展したのだろうか?
 
 
 
ここから一気にいきたいところですが次がどうもとんでもなく長くなりそうなので、申し訳ないのですが今回はここまでで。
 
 
 
最後にグレゴリオ聖歌の権威・フランスの音楽学マルセル・ペレス 率いる古楽集団 "アンサンブル・オルガヌム" によるアルバム、
 
 
を貼っておきます。
美しい世界を聴くことができます。
 
 
 
次回、単旋律(モノフォニー) だったグレゴリオ聖歌が 複旋律(ポリフォニー) に変化していく様子を探ります。
 

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