前回の記事で、西洋音楽のルーツであるキリスト教聖歌のルーツのひとつ、古代ギリシャ音楽について調べた。
今回はもう一つのルーツである古代ユダヤ、そこではどんな音楽があったたのかを探る。
●多声音楽の起源をさぐる その1
●多声音楽の起源をさぐる その2(9世紀~8世紀)
●多声音楽の起源をさぐる その3(セクエンツィアとオルガヌム)
●多声音楽の起源をさぐる その4(8世紀~3世紀)
●多声音楽の起源をさぐる その5(3世紀~紀元前)
キリスト教聖歌のルーツをさぐれ!(古代ユダヤ編)
新約聖書には、最後の晩餐で賛美歌を歌ったことが言及されている。
記録にも、ごく初期のキリスト教で賛美歌が歌われていたことがみえるが、その言及は詩的もしくはあいまいなもので、この時代の音楽が実際にどのようなものだったかはほとんどわからない。
西洋音楽のルーツである現在のキリスト教会の聖歌は、もともと 古代ユダヤ音楽 と 古代ギリシャ音楽 の2つを母体として発展したとされているが、当然ながら キリスト教成立の背景には古代のユダヤ教がある。
そのため、ユダヤ教会堂歌の様式の大部分が初期キリスト教に採用され、キリスト教聖歌の成立に大きく関係しているといわれる。
また、ギリシャ正教会聖歌、アルメニア聖歌、グレゴリオ聖歌などの歌のうちの古いものは、起源としてユダヤ教会堂歌の型を改作したものと見られている。
イスラムが興るまでのユダヤ教会シナゴーグの音楽は、初期キリスト教音楽とほとんど変りがないという見解もある。
では、新約聖書よりももっと前の、古代ユダヤ教の音楽とはどのようなものだったのだろうか。
ポリフォニーはあったのだろうか?
古代ユダヤ教の音楽
紀元前10世紀~バビロン捕囚
『旧約聖書』の記述によると、古代イスラエルのダビデ・ソロモン時代(前10世紀頃)では エルサレムなどの神殿において、礼拝や祈祷に伴う音楽と舞踊、戦いの勝利の音楽など、さまざまな音楽が演奏されていたという。
具体的には、音楽の始祖ユバルについての記事を筆頭に、預言の音楽、祈りの歌、仕事歌、儀式のための付随音楽、愛歌、哀歌、宴のようす、女性の歌と踊り、音楽治療(*後述)など、この時代を通じての音楽状況に関するさまざまの言及がみられる。
楽器では小形シンバル、枠太鼓、リラの類、リード笛、銀製トランペット、角笛(つのぶえ) などの名があげられる。
その頃の古代ユダヤ教では歌に楽器が付いていたとされる。
(つまり、東方教会聖歌のような無伴奏聖歌ではないという事)
しかし、その歌がポリフォニーだったかどうかは不明である。
(サムエル前書(サムエルの書上)第16章23神の霊がサウルを襲うとき、ダビド(ダビデ)は竪琴を取って弾きながら歌った。そうするとサウルは心が安らかになって落ち着き、悪霊も離れ去るのだった。第18章10その翌日から下った悪霊がサウルに取りつき、家の中で気が狂ったようになったので、ダビドはいつものように弾き歌いを始めた。
第二神殿時代(紀元前5世紀頃)
旧約聖書の音楽
第二神殿時代に遡る古代のアクセントなどの「音の読み方」を、約1200年前から、その伝統を正確に保存していると言われている。
紀元前当時の旧約聖書の音楽を考証、できる限り忠実に再現することを試みた有名なフランスの女流音楽学者 シュザンヌ・アイク・ヴァントゥーラ女史による音源。
仏ハルモニア・ムンディ (Harmonia Mundi)から1976年に出た。(楽譜も出版されている)。
La Musique de la BIBLE revelee'
Suzanne Haik Vantoura - NPR Morning Edition 1986
コチラの動画はそれに伴うドキュメンタリー映像のようです。
考証の仕方などを詳しく解説。
次回はさらにもっと前、古代の遺跡を見てみたいと思います。
次回はこちら ↓
多声音楽の起源をさぐる INDEX
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