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ナチス と オカルト との関係は、アドルフ・ヒトラー が政権を取る そのずっと以前から始まっていた。
1917年、ヒトラーが第一次大戦に従軍中の時から、その兆しを見せていた。
ヒトラーは塹壕の中で 北欧神話 に登場する戦争の神 オーディン や トール と言った神々に捧げる詩を書いていた。
そして神々から啓示を受けた自分は、選ばれた人間である と思っていた。
大戦中に目を負傷した彼は、神秘体験とともに視力を回復させる。
第一次世界大戦後
1920年代、第一次世界大戦後のドイツでは、国民のだれもが自尊心を失いかけていた。
戦勝国は 絶対に支払い不可能な額の賠償金をドイツに求めた。
会議に出席した有識者が そんなに追い詰めるのはやめた方がいいと進言したにもかかわらず。
そしてドイツ経済はいちじるしく困窮し、破綻寸前となる。
国民全体が疲弊し、国中が荒んだ空気に包まれていた。
そうした社会の混乱や不安が、オカルティズムが入り込む隙間を作った。
当時のドイツでは、多くの人々が どうしようもない生活になんとか救いを見出そうと、二つの活動にのめりこんでいた。 政治集会とオカルトだ。
ナチスが掲げる反ユダヤ主義について
誰もがお金も食べ物もない中で、どう生きればいいのか、その答えや救いを政治とオカルトに求めた。
そして、ナチスが掲げる「ゲルマン民族の優位性」という主張は、人々にその答えをもたらした。
そもそも、「反ユダヤ」という考えはヨーロッパにずっと昔々からデフォルトで存在していた。 キリスト教は根本的に反ユダヤである。
それから ロスチャイルド家 などのユダヤ系富裕層に対する反発と嫌悪感。 ユダヤ人は高利貸しの嫌な奴らであるというイメージ。
貧しい暮らしを強いられたことにより「反資本主義」的な考えが生まれ、その憎き資本主義経済を牛耳る「国際金融ユダヤ人」たちを敵とみなした。
もともと みんなが潜在的に持っていた反ユダヤの感情。
困窮した社会の中、辛い現実を すべて彼らのせいなのだと責任を なすりつけるように、ストレスのはけ口として利用し、ヒトラーはドイツ国民の感情の代弁者となった。
当初のナチ党は労働者の党で、富裕層(=ユダヤ人)は敵であり、ナチスは貧しい人々の正義の味方であった。
ちなみに、第二次世界大戦時のドイツのことを一般に「ナチスドイツ」と言うが、当時のドイツ軍が全員ナチスな訳ではない。 戦争をしたドイツ軍将校でもナチス党員ではない人もいる。
首相であるヒトラーの下に、ヒトラーが党首であるナチス党と、ドイツ軍部がある。
日本の自衛隊と自民党が完全にイコールではないのと同じこと。
SS、ゲシュタポなどはナチスに属する。
しかしナチ党の主張はゲルマン優位主義なので、基本的にナチ党の全員が反ユダヤ主義であることは間違いない。
ドイツとオカルト
第一次世界大戦後のドイツでは、オカルトがとても流行していた。
人々は死者の霊を呼び出す 降霊会 などの オカルト活動を盛んに行っていた。
また占星術が非常に流行り、諸外国に比べ、占いに関する新聞記事の数も突出していた。
知的階級がサロンを開くなど、オカルトがらみの活動は広く普及されていった
こぞって降霊会を行った
巷に占い師があふれた。
その一人が占星術や手品で人気を博したのが 稀代の預言者、エリック・ヤン・ハヌッセン。
交霊会でのハヌッセン(中央の人物、1928年頃)
彼は富裕層向けに降霊会や個別鑑定を行っており、彼の顧客にはナチ党の幹部が多数いた。
やがて彼はヒトラーの演説の指南役となる。
そして1933年のヒトラー首相就任の年に謎の死を遂げる。
ナチスの主要人物
ヒトラーのお抱え占星術師である ハヌッセン が死んだ後も、幹部は占星術を信じている。
ハインリヒ・ヒムラー や ルドルフ・ヘス は 占星術を信じていたが、ヨーゼフ・ゲッベルス は オカルトや占星術には懐疑的だった。
ナチス党員の全員がオカルティストではなく、むしろ嫌がっていた人もいた。
ナチスのオカルト派と反オカルト派
オカルト派
ヒトラー
ハインリヒ・ヒムラー
ルドルフ・ヘス (ルドルフ・ヴァルター・リヒャルト・ヘス)
ローゼンベルク
オカルト反対派
ゲッベルス
ゲーリング
アルベルト・シュペーア
マルティン・ボルマン
ヒトラーはオカルト主義だが、彼は占星術は信じなかった。
何故なら自分は 神の代理人であり、その言葉は絶対なので、占星術は彼にとって邪魔なものであった。
1938年、ドイツはオーストリアに侵攻し、併合する。
それにより偉大な力を持つとされる神聖な遺物がヒトラーの手に落ちた。
ホーフブルク宮殿のロンギヌスの槍だ。
キリストを刺したとされる聖なる槍で、手にしたものは全能の力を得ると伝えられている
後編へ続きます。→ ナチスとオカルト (後編)
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