多声音楽の起源をさぐる 番外編1 【世界の民族音楽】

世界各地の民族音楽ではどうか?

北欧先住民族サーミの太鼓(北欧サーミ族のシャーマン太鼓)

 

これまで記録がたくさん残っているため西洋音楽を中心に見てきたが、もちろん世界各地に残る民族音楽にも、ハーモニーは存在する。

 

しかし、多くの民族音楽、特に先住民族少数民族に伝わるような古くからあるものは口承が多く、文字などで記録されていないため、その起源をさかのぼることは不可能に近い。

 

キリスト教の影響をあまり受けてなさそうな民族音楽は、圧倒的に単旋律のものが多いように思われる。

 

例えば我が国 日本においても、催馬楽などの古代の歌から 長唄などの伝統的な邦楽まで、基本的にハーモニーはなく単旋律である。

 

ちなみに 最初に教材として挙げたこの本の中では、西洋音楽以外でハーモニーを使って歌う民族音楽として、
 
ブヌン族(台湾)
ボルネオ島の先住民の音楽(ムルット族など?)
ピグミー族(アフリカ)

の3つがあると紹介されていた。
 
では順々に見ていこう。
 
 

ブヌン族(台湾)

 

初めて聴いた時、私には讃美歌のようにしか聞こえなかった。
 
これはおそらくキリスト教を経由した歌ではないかと思う。
 
調べてみると、ブヌン族の人々はかつてはアニミズム的宗教観を持っていたが、1950年前後にキリスト教(主に長老教会およびカトリック)の布教が盛んに行われ、現在8割ほどの人びとがキリスト教を信仰しているとの事。
 
キリスト教化する以前の彼らがどのような歌を歌っていたのか、元来ハーモニーがあったのかは調べてもどうしてもわからなかったので、彼らの歌が古代からであったかどうかの判断は 保留としたい。
 
(ブヌン族について)
 
 

ボルネオ島の先住民の音楽(ムルット族など?)

 

ダンスの動画ばかりで、どうしても歌の動画を発見できなかったが、ムルット族はこんな人々のようだ。

インドネシアの音楽文化と似た感じである。

 

こちらのレコードショップのサイトでムルット族の古い録音のCDを扱っておられたようだ(現在sold out)。

(「LISTEN1」というリンクから試聴ができます)

 

いかんせん、こちらも情報があまりにも少なく、同じくムルット族も現在キリスト教徒が多いとの情報もあり、古代からハーモニーを持つ民族なのかは不明。

 

しかしブヌン族もムルット族も、どちらも首狩りの風習があったという奇妙な符号が不思議である。

(ムルット族について)

 https://wiki2th.com/ja/Murut_people

 

その他、ボルネオの先住民族についてはペナン族に関して言及しているサイトも多数見かけたが、いずれも歌の動画を発見することができなかった。

 

 

クロアチアのクラパ(男声合唱

クラパ(クロアチア語: Klapa)は、クロアチアダルマチア地方で行われているア・カペラ無伴奏)の男声合唱である。

ユネスコ無形文化財(UNESCO Intangible Cultural Heritage of Humanity)にも登録されているが、キリスト教音楽の影響がみられるそうなので、今回は特に取り上げない。

 

 

ピグミー族(アフリカ)


ピグミー(Pygmy)
は、中央アフリカの赤道付近の熱帯雨林に住む狩猟採集民である。
 
彼らは不思議な民族で、アフリカのかなり広い範囲の地域に分布して存在している。
そして彼らは様々な民族名を持ち、それぞれ異なる言語を話すという。
 
だからピグミー族と一口で言っても、かなり多様で異なる性質を持つ人々のようだ。
 
 
こちらの動画はカメルーンバカと言う民族の動画。
 
ピグミー族のそれは民族の独自性があり、確かに見事なハーモニーであった。





こちらはアカ族のもの。



ポリフォニーとは言えないかもしれないが、こちらもとても良い。↓



アフリカにはピグミー族やアカ族以外にも、まだまだこうした古代から受け継がれている素晴らしいポリフォニーな歌があるのに違いない。
 
しかし西洋音楽のように記録として残っている訳ではなく、それは時代とともに絶えず変化し続けている。
 
このピグミー族の歌にしても、どれくらい昔から歌い継がれているのか、ルーツはどこなのか。
考えるだけで気の遠くなるような、悠久の時を感じさせてくれる歌なのだ。
 
それらの歌に出会えたことに、心より感謝したい。
 
 
 
最後までお読みいただき本当にどうもありがとうございました。
 
 
 
いちおう次もあります。
番外編、というかオマケです。。。
 
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